(60)さくらんぼマラソン・その②
続々と搬送される熱中症患者を横目にレース終了を待つ。
あ~、あれが典型的な熱中症だよ。
ドクターがいうので、目線の先をみる。
重症の熱中症は、幻覚を見ているような状況に陥る。
初めて見た。
俺じゃない!離せ! と、言いながら、起き上がろうとして、暴れる。
目がいってる、これは大変だ。
命の危険がある人がズラリと並ぶなか、わたしは、命の危険がないひとだから、、、まぁ、わたしにとってはオオゴトだけど、みんなにとっては二の次。
熱中症患者が落ち着くと、ドクターが時おり近づいてきて、どうやって帰るか、後で考えようね、と、話しかけてくる。
レースが終わって、重症患者が落ち着いたり、搬送されたり、家族が迎えに来たり。
搬送用の救護車が確保できたようで、休日病院への搬送が決まる。
- 保険証もない
- お金もない
- 土地勘もない
病院行ったとして、お金どうする?
どうやって、駐車場まで戻る?
車で10分位と聞いていたのに、やたら遠い…。
帰り(会場まで)のタク代はいくらになりますか? (;Д;)
救急車ではないと思うんだけど、病人搬送用の車両。
わたしの前には、救急隊のような人が、バーに腰かけてこちらを向いて座る。
すごく嫌な予感がしていたのですが、急ブレーキで、バーがハズれ、わたしの膝に手をつく。
あ、すみません
助けてもらってなんだけど、心の中、
(; ・`д・´)
やっと到着したのは、そこそこ大きな総合病院。
救護車降りると、隊員の方が病院への説明等すべてしてくれる。
救護所で付き添ってくれたくれた人が残りあとはすべて撤収。
(救護車両には、運転手、隊員、付添い2名乗ってくれてました)
病院の車イスで待合い室に入ると、ゼッケンつけたままの人や、わたしの付き添いの方が着ている大会スタッフTシャツを着ているマラソン関係者もちらほら。
もちろん、一般の患者さんも。
またしても、
タイツ、切ってもいいかな?
と、聞かれたので、事情を説明してお断りする。
入院患者さん用のズボンをお借りしてしばらくすると、検査に連れていかれる。
レントゲンとCT。
ここまでは順調でしたが、ここからがとにかく長い。
わたしが到着した際にいた患者さんはほぼ掃けて、さぁ、次辺りかなと思ったところに、ここにも熱中症患者さんが救急車で運ばれてくるので、またまた、優先度が下がる。
うーんと、何時になったら帰れるんだ?
そうこうしているうちにまたしても新たな救急車。
今までとは空気が一変。
先生、連絡つきません、助産師さん、向かってくれてるけど。
うわ、赤ちゃん、産まれるのかな?
今生まれたら未熟児だって
うわ、わたしはまだまだ先だな。
病棟から、看護師さんがダッシュしてくる。
ありがとー、助かるー
と、他の看護師さん。
すると、
え?でてきてる? だめだ、一旦戻そう
会話の内容から、救急車から運び出そうとしたら、赤ちゃんが出始めてしまい、ここじゃまずぃと、救急車内に戻した模様。
バタバタ、バタバタ、バタバタ…。
とにかく忙しい。
しばらくして、
おぎゃー
テレビドラマで見るような、あんな鳴き声が。
病棟からバタバタと、保育器が運ばれ、一瞬見えた診察室には安堵が流れる。
そんな中、
わたしの順番はまだですか?
と、中にか入っていく患者さんが。
(状況見たらわかるよね、ちなみにわたしは、あなたのずーっと前から待ってるのよ。)
みんなから頼られて、汗だくの看護師さんが、
これはちょっと無理だわ、着替えてくる
と、滝汗で駆け抜けて行く。
付き添いのスタッフさんに聞いたら、
この病院は、滅多なこたでは救急を断らないという病院。
そんな中に来ていた親子づれが、看護師さんと会話。具合はどうですか?と、聞かれ、
今日は、昨日とは違って、今日は朝からご機嫌でニコニコで、ご飯もモリモリだよね~
と、おかあさん。
(来る必要あるのか(ーー;)?)
と、突っ込みたくなる。
わたしの順番はまだ来ない…。
なので、まだつづく。